🍁もみじさん🍁
- 悦子 隅田

- Apr 30
- 3 min read
去年の11月末に保護した、もみじさんのことです。

その日は、実家に帰ってきていた娘と一緒に紅葉を見に、山城の山の中にある国宝の仏像もあるお寺へ行きました。
2年前、紫陽花の頃にも訪れたことがあり、その時も猫の姿を見かけました。調べてみると「猫が出迎えるお寺」としても知られている場所でした。

人懐こく、すり寄ってくる猫たちは、ふくよかではないもののガリガリでもなく、「誰かがお世話しているのだろう」と思っていました。
でも今回は違いました。
明らかに風邪をひいている子が何頭もいて、見ていてつらくなりました。
あるお茶屋の前にいた一匹の子。
ひときわ強く頭を擦り寄せてきて、撫でると背中の骨がゴツゴツと手に当たるほどでした。
体の大きさは6ヶ月くらいに見えましたが、顔つきはしんどそうで…。
持ち合わせのフードもなく、「ごめんね、ご飯がなくて」と声をかけて立ち去る私たちを、その子はずっと見送っていました。
近くのお店の方に「お世話されているのですか?」と尋ねても、関わりたくないのか首を振られるだけ。
モヤモヤした気持ちのまま帰りました。
でも、あの背中の感触が忘れられませんでした。
意を決して、もう一度お寺へ向かいました。
「同じ場所にいたら、保護しよう」
すると、いました。角を曲がったその場所に。
私を待っていたわけではないと思います。
ここにいれば観光客が通り、もしかしたら何かもらえる——そんなことを知っているだけかもしれません。
でも、その気持ちを思うと、切なくて。
持ってきたフードを食べている間に、毛布で包んで抱き上げ、キャリーへ。
軽い、本当に軽い…。
6ヶ月どころか、もしかしてシニア?と一瞬頭をよぎりましたが、そのまま連れて帰りました。

翌日、病院へ。
先生の第一声は「なんでも保護したらいいというものではない」でした。
確かに、体はノミのフンだらけ。
でもノミはいなくて、シラミがびっしり。
ヨダレも止まらない状態でした。
推定年齢は10歳前後。
血液検査では極度の貧血、それ以外はまずまず。ウイルス検査は陰性。
ただ、口内炎がひどく、ヨダレが止まりませんでした。
手足も、ヨダレのついた口で毛づくろいするためベタベタに黒く汚れていました。
「どんな子なら保護していいの?」
仔猫?きれいな子?
いろいろな思いが頭の中を巡りました。

その後、病院を変え、口内炎の治療を続けています。
なかなか良くならず、食べられずに体重が落ちることもありました。
サプリを試したり、フードを変えたり…。
ヨダレで汚れるため、敷物も毎日取り替えています。
それでも——
あの場所に置いてこなかったことを、今は心から良かったと思っています。
甘えて足に擦り寄ってくる小さな頭を撫でるたびに、そう思うのです。
そして、あの子の仲間たちのことも。
すべてを助けられなくて、ごめんなさいと。
外で暮らす猫の平均寿命は5〜6年と言われています。
もみじさんが10年近く生きてこられたのは、少なくともご飯をもらえる環境にいたこと、サクラ猫だったこともあると思います。
でも、医療は受けられない。
きっとあのままだったら、この冬は越せなかったはずです。
その地域の方は口を揃えて言います。
「これ以上増えないねん。みんな育たへんからな」と。
当たり前のように語られるその言葉に、命が消えていく現実への慣れを感じました。
きっと、こういう場所は日本中にあります。
たった一匹を助けても、何も変わらないかもしれません。
それでも—
これからも、できることを続けていきたいと思います。
一匹一匹の命を守っていくために、これからも一緒に見守っていただけると嬉しいです。

担当 山下



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